町中で夏草に包まれて

明治期に建てられた名古屋で最も古い「カトリック主税町教会」、大正期の和洋折衷の旧邸宅である「旧豊田佐助邸」や「文化のみち橦木館」、移設復元された、日本初の女優として世界で活躍した川上貞奴(かわかみさだやっこ, 1872-1946)が暮らした旧邸宅「文化のみち二葉館」などの歴史的遺産が、住宅街をぶらぶらと歩いていると、見頃を迎えた紫陽花とともに巡り会うことができます。

ミサに集う人、結婚式場へタクシーで乗り付ける人、洋館のカフェでくつろぐ人、カメラを手に紫陽花を撮影する人、無邪気な笑い声が響く公園。久しぶりに良い天気の日曜日ということもあり、町中ではさまざまな人の姿を見かけることができます。

歴史的遺産と併せて、その奥に広がる緑の庭。そこにぽつんと佇んでいると、夏草が薫る心地良い微風に包まれます。

気分も良くなり、同じ順路で2週目を巡ってみます。変わらない同じ建物に再び出会うのですが、そこで目にし、通り過ぎていく人や光景はやはり違っており、この地区一帯にも当たり前に時が流れているのだという、当たり前のことを感じられるのも楽しいものです。

写真・文:ミゾグチ ジュン

写真と、旅と、何か。
巡り会う瞬きを求め、
いつものカメラを手に、旅に出る。

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