
「恐山 心と見ゆる湖を 囲める峰も 蓮華なりけり」(大町桂月)
千百余年前の862年に天台宗の慈覚大師によって開かれた、地蔵菩薩を本尊とする霊場である「恐山(おそれざん、おそれやま)」。
カルデラ湖の宇曽利湖(うそりこ)を中心とした釜臥山など8つの外輪山の総称で、もとは宇曽利山(うそりやま)と呼ばれていましたが、下北地方の訛りにより次第に恐山(おそれざん、おそれやま)と呼ばれるようになり、この地方では「人が死ねばお山に行く」と、永く信仰が受け継がれてきました。

恐山へ向かう道中には、三途の川を渡るための太鼓橋があります。
悪人にはこの橋が針の山のように見えて渡ることができず、その罪の重さによって川の流れも変わるといわれています。
そして、恐山へは自ら川を泳いで渡らなければならないと伝えられています。
美しい宇曽利湖を望む極楽浜に対し、血の池地獄や無間地獄、賽の河原などには火山岩が広がり、至る所から噴き出す火山性ガスの硫黄臭、積み重ねられた小石の山々、強い風に吹かれてカシャカシャと音を立てて回る鎮魂の風車が、独特の景観をつくり出しています。
極楽浜の安らかな風景と、地獄の恐ろしい異観との鮮やかな対比は、現世とは異なるあの世の無常を、この身にまざまざと感じさせます。
写真・文 / ミゾグチ ジュン





